AI人材の争奪戦で変わるSES単価相場、発注前に見るべき3視点
生成AIを使いこなせるかどうかでSES業界の単価相場が二極化し始めています。発注企業とエンジニアそれぞれが契約前に確認すべき3つの視点を、実例を交えて整理しました。
「経験5年なら、このくらいの単価」
SES(システムエンジニアリングサービス)の世界では、これまで経験年数や使用言語、担当工程をもとにエンジニアの単価を判断することが一般的でした。
しかし、生成AIの普及によって、その評価軸が変わり始めています。
同じ5年の経験があっても、「仕様書どおりに実装できる人」と、「顧客の課題を整理し、AIを活用しながら設計・実装・検証まで進められる人」では、企業に提供できる価値が大きく異なるからです。
AIの登場で「求められるエンジニア」が変わった
レバテックの「IT人材白書2026」では、採用担当者1,000人のうち50.1%が、AIの登場によってエンジニアに求めるスキルが変化したと回答しています。
さらに、変化したと回答した採用担当者が「より重要になった」と考えるスキルでは、プロンプトのスキルが44.5%、コミュニケーションスキルが41.5%と上位に挙がっています。
つまり、単にプログラムを書けるだけではなく、AIに適切な指示を出し、その結果を判断し、顧客やチームと連携しながら仕事を進められる能力が重要になっているということです。
「AIを使える」だけでは高い評価にはならない
ここで注意したいのは、ChatGPTや生成AIツールを使った経験があるだけで、市場価値が上がるわけではないことです。
評価されるのは、AIを使った結果として何ができるようになったかです。
- 要件整理から実装まで担当できる
- AIが生成したコードをレビュー・修正できる
- 設計やアーキテクチャを判断できる
- 顧客の業務を理解し、改善案まで提案できる
- 開発速度を上げながら品質を担保できる
経済産業省も、生成AI時代のエンジニアには「AIスキル」「上流スキル」「対人スキル」が必要であり、それらをどう組み合わせるかが重要だと整理しています。
AIがコードを書くようになったからこそ、人間には「何をつくるのか」「その設計でよいのか」「AIの出力が正しいのか」を判断する力が求められているのです。
SESの単価は何で決まるのか
もちろん、AIだけでSESの単価が決まるわけではありません。
現在も、経験年数、使用できる技術、担当できる工程、マネジメント能力などが大きな判断材料です。
レバテックが2026年3月に公開している目安では、システムエンジニアの月額単価は、初級80万〜100万円、中級100万〜120万円、上級120万〜200万円とされています。
重要なのは、経験年数だけでなく「どこまで任せられる人なのか」によって価格帯が大きく変わる点です。
これからは「人月」より「生み出せる価値」を見る
AIによって開発速度が上がれば、「1人が1か月働くから○万円」という人月だけの考え方にも変化が起きます。
例えば、これまで3人で行っていた作業を、AIを活用できるエンジニア1人と少人数のチームで進められるなら、1人あたりの単価だけを比較しても本当のコストは判断できません。
企業側が見るべきなのは、単価そのものではなく、
- 何人必要なのか
- 何か月かかるのか
- どこまで任せられるのか
- AIによってどこまで生産性を上げられるのか
- 品質やセキュリティをどう担保するのか
というプロジェクト全体の生産性です。
発注企業が確認したい3つのポイント
これからエンジニアを探す企業は、職務経歴書の経験年数や技術名だけを見るのではなく、次の3点まで確認することが重要です。
- 担当できる工程:実装だけなのか、要件定義・設計・提案までできるのか
- AI活用力:どのツールを使ったかではなく、AIを使って業務をどう改善したのか
- 検証する力:AIの回答やコードをそのまま使わず、正しさを判断できるか
「Java経験5年」といった条件だけで人材を検索する方法では、本当に必要な人材を見落とす可能性があります。
エンジニアはスキルシートの書き方を変える
エンジニア側も、これまでと同じスキルシートでは自分の価値が伝わりにくくなっています。
例えば、
「ChatGPT、GitHub Copilot使用経験あり」
だけでは十分ではありません。
それよりも、
「生成AIを利用してテストコード作成を効率化した」
「要件整理から設計・実装まで担当した」
「AI生成コードをレビューし品質を担保した」
「社内業務を分析しAIを使った改善案を提案した」
というように、AIを使って何を実現したのかを書くことが重要です。
経験年数から「実際にできること」でつなぐ
AI時代になるほど、エンジニアの市場価値を「経験○年」「言語○○」だけで判断することは難しくなります。
企業が知りたいのは、その人が実際に何を任せられるのか。
エンジニアが伝えたいのは、自分がどんな価値を生み出せるのか。
この2つを正しくつなぐことが、これからのIT人材市場では重要になります。
AIで案件と人材を、もっと正しくつなぐ
ENGERでは、案件とIT人材を、単純なキーワードや経験年数だけではなく、スキル、経験工程、スキルシートなどの情報をもとにマッチングしていきます。
企業にとっては「本当に任せられる人材」を探しやすく。
エンジニアにとっては、これまでの経験や実力が正しく評価される状態へ。
案件と人材を、AIでつなぐ。
AI時代に合わせて、人材の探し方・評価の仕方そのものも変えていく必要があります。