SES業界に、静かな「二極化」が起きています。求人件数は表面上増えているように見えますが、案件の中身と単価の構造は、2023年とは別の市場になりつつあります。

現場で起きていること ── 単価と案件種別の分断

2025年以降、SES市場の案件は大きく2つの方向へ分かれています。

一つはAIツール実装・データ分析・LLMアプリ開発・クラウド移行支援といった「AI・DX特化案件」です。これらは月単価80〜120万円の水準を維持・上昇させており、該当スキルを持つエンジニアには引き合いが絶えない状態が続いています。

もう一つはレガシーシステムの保守・運用・軽微な改修に代表される「従来型案件」です。企業のAI自動化推進によって件数が減少傾向にあり、単価も横ばいか下落しています。現場からは「2024年比で月単価が5〜10万円下がった」という声も聞こえてきます。

この分断が厄介なのは、「現在稼働中だから大丈夫」と見えているエンジニアや企業ほど、変化に気づくのが遅れる点です。

なぜ二極化が加速しているのか

構造的な背景は3点あります。

① AIが「中難度開発」を侵食し始めた

コード補完・テスト自動生成・定型改修のAI代替が加速し、かつて中堅エンジニアの主戦場だった中難度案件が急減しています。5年前には専任が必要だった作業が、AI補助で半工数になるケースが増え、発注量そのものが縮小しています。

② 発注企業の要求水準が変わった

DX文脈でシステム開発を発注する企業が増加し、「ただ作れる人」より「業務課題を理解してAIも使いこなせる人」が求められるようになりました。スキルシートの「Java/Pythonが書ける」より「この課題を解決した実績」が評価される商談が増えています。

③ スキルと市場価値のリンクが遅れている

市場が急変しているにもかかわらず、SES単価交渉は依然「年次・経験年数・言語スキル」で決まるケースが多く、AI活用能力が単価に反映されにくい構造が続いています。結果として、実力ある若手が適正な評価を受けにくく、モチベーション低下につながる悪循環も起きています。

今すぐできる具体的な一手

状況を整理すると、以下のアクションが有効です。

エンジニア側

  • AI補助で開発した成果物をGitHubに1件置く(ポートフォリオの可視化)
  • 「AIを使ってこの工程を30%短縮した」など、成果を数値で言語化する
  • 年収・単価の市場相場を半年に1度確認し、自己評価との乖離がないか見直す

発注企業・DX担当側

  • SES単価だけでなく「AI活用で削減できたコスト・工数」を評価指標に加える
  • 保守費用の月次レビューを行い、AI代替できる工程を切り出す
  • 新規開発の要件定義時に「AI活用前提の設計」を項目として盛り込む

さいごに

SES市場の二極化は、動ける人には追い風です。「現在稼働中だから問題ない」という安心感が、3年後のポジションを大きく左右します。自分のスキルと市場の変化を今一度照らし合わせてみてください。

AIを活用したシステム開発やDXパートナーをお探しの企業様は、お気軽にご相談ください。