「うちのメンバーはなぜ発言してくれないのか」と感じているリーダーは、実は意外と多いものです。それはメンバーの性格の問題ではなく、場の「設計」の問題かもしれません。
「意見が出ない会議」の正体
エンジニアを多く抱える開発組織で、こんな光景はよくあります。議題を出すと、リーダーが最初に方向感を話す。「了解しました」「いいと思います」という反応が続いて、そのまま意思決定へ。会議自体は回っているように見えます。でも本当に「チームが考えた」でしょうか。
心理的安全性の研究で知られるエイミー・エドモンドソン(ハーバード大学)の調査では、「意見が出ないチーム」の多くは、メンバーの能力ではなく場の設計に問題があると指摘されています。発言しないのは「やる気がない」からではなく、「発言するコストが高い」からです。
無意識の「正解プレッシャー」がチームを黙らせる
発言コストが上がる原因の一つが、リーダー自身の習慣にあります。
典型的なパターンは「リーダーが最初に結論を出す」ことです。「〇〇の方向でいこうと思うんだけど、どう思う?」という問い方は、賛否を問う場になります。すでに方向性が示されている状況で反対意見を出すのは心理的コストが高い。特に、入社して間もないメンバーや技術的な発言に自信がない人にはなおさらです。
もうひとつは「少数意見の扱い方」です。「それよりも〇〇の方が現実的では」という返しを数回受けると、次からその人は発言しなくなります。意図して否定しているつもりはなくても、議論が効率重視になるとこれが起きやすいパターンです。
「やめること」から始まる、発言が生まれる場の設計
心理的安全性の高いチームをつくる方法は、新しい施策を追加することよりも、既存の習慣を「やめること」から始まる場合が多いです。
1. 意見を言う前に「問い」を先に投げる
「どうしたらいい?」ではなく「この課題でまず気になることは何?」と問いかける。最初の問いが探索的であるほど、メンバーは自分の言葉で考える余地が生まれます。
2. 「なるほど」だけで終わらせない
発言の後に「それ面白いね、もう少し聞かせて」や「次のスプリントで試す候補に入れよう」と、発言が何かにつながった感覚を返す。この一言が次の発言を生みます。
3. 少数意見に「ラベル」を貼る
「Aという意見が1つ出ました。他に別の見方はありますか?」と、意見を"存在するもの"として扱う。少数意見を保護することで、次の発言がしやすくなります。
さいごに
心理的安全性の高いチームをつくることは、「なんでも言っていい」雰囲気にすることではありません。「挑戦的な発言が、ちゃんと扱われる」設計をつくることです。
リーダーがやめるべき習慣は、多くの場合、意図してやっているものではありません。だからこそ、一度立ち止まって問い直す価値があります。
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