はじめに — カレンダーが会議で埋まる、という静かな危機

「最近、会議ばかりで仕事が進まないんです」

ここ1年、社員からも、取引先の経営者の方々からも、本当によく聞く言葉だ。私自身も例外ではなかった。気がつけば朝から晩まで会議で埋まり、本来一番時間をかけるべき経営判断や、新しい事業の構想は、夜のひとり時間か、移動中の電車の中でしか考えられない、という日々が続いていた。

会議は、組織の必要悪ではない。むしろ、設計を間違えると、組織から「思考」と「意思決定」の時間を奪う最大の要因になる。これは社長として痛感したことであり、いま中小企業の経営現場で、いちばん見直す価値のあるテーマだと思っている。

なぜ会議は増え続けるのか

中小企業の会議が増える理由は、ほとんどの場合「悪意」ではなく「善意」だ。

情報を共有しないと不安。決裁の責任を一人で持ちたくない。新人にも参加させて学ばせたい。どれもそれ自体は正しい。ただ、これらが積み重なると「念のため会議に呼ぶ」「念のため議題に乗せる」が定常化する。私たちの会社でも、いつの間にか週20本近い定例会議が走っていた。

やっかいなのは、会議は誰のものでもないので、誰も止めない、ということだ。立ち上げる人はいても、終わらせる人がいない。

私がやめた3つのこと

整理する中で、私はまず以下の3つを決めた。

やめたこと 代わりにしたこと
定例会議を「半年継続」で自動更新する 半年に一度、すべての定例の継続可否を私が決裁する
「念のため」の参加者リスト 議題ごとに必要な人だけを呼ぶ。情報共有はNotionで非同期
アジェンダなしの会議 議題と「決めたいこと」が書かれていない会議は、当日でもキャンセルする

書き出してみると当たり前のことばかりだが、最初の半年は、特に3つ目の「キャンセルする」決断が一番難しかった。社長が会議を切ると、現場は萎縮する。だから、ただ切るのではなく、「議題を整えてから再設定してください」と返すことを徹底した。

会議をやめるのではなく、会議の質に責任を持たせる。それが私の中での再定義だった。

3ヶ月後、何が起きたか

3ヶ月後、私のカレンダーから会議は約4割減った。代わりに増えたのは、社員と1on1で話す時間と、自分が深く考えるための余白だ。

面白いのは、事業判断のスピードがむしろ上がったこと。「あの件、どうしましょう」と聞かれた時に、すでに考え抜いた答えが返せるようになった。会議で決める数は減ったのに、決まる数は増えた、という逆説的な結果になった。

中小企業の社長は、会議を主催するプロではない。経営判断と組織の方向づけのプロであるべきだ。そのために、まず自分のカレンダーを取り戻すこと。これは贅沢ではなく、責任だと私は思っている。

おわりに

GW明け、もしあなたが「最近、会議ばかりで疲れた」と感じるなら、連休明けの月曜の朝、カレンダーを開いて来週の会議を3つだけ選んでみてほしい。残りは、本当に必要か、半年に一度の見直しの対象にしてほしい。

次回は、会議を減らして空いた時間で、私が一番投資するようになった「ひとつの習慣」について書きたいと思う。