SES業界のエンジニア単価が「ここ1〜2年で頭打ちになっている」という声を、発注側・受注側の双方から聞くようになりました。その背景には、生成AIの浸透による構造的な変化があります。
SES業界で今、何が起きているのか
2024年後半から2025年にかけて、GitHub CopilotをはじめとするAIコーディング支援ツールの業務導入率が急速に上がりました。一部の調査によると、積極的に導入した企業ではエンジニアの開発生産性が平均30〜40%向上したと報告されています。
このことが意味するのは、「これまで3人が必要だった開発工数が、2人+AIで賄えるケースが出てきた」という現実です。発注側の「何人必要か」という調達ロジックが少しずつ変わり始めています。稼働率は維持できていても、単価の上昇が止まるという現象が起き始めています。
なぜこのタイミングで変化が加速したのか
SES業界の多重下請け構造は、「エンジニアのスキルを外から可視化しにくい」という非効率を前提として成り立ってきました。ところがAIツールの普及でコードの品質・スピードが数値で見えやすくなり、スキル差が表面化しやすくなっています。
結果として、経験3〜5年のミドルスキル帯のエンジニアが最も単価の圧力を受けるという構図が生まれつつあります。「普通にコードが書ける人」の市場価値が相対的に下がり、AIと協働できるエンジニアとそうでないエンジニアの間に、少しずつ単価差が生じています。
SES事業者・発注側それぞれの対応策
SES・IT人材事業者として
- エンジニアのAI活用スキルを採用・育成の評価軸に組み込む
- 「人月単価」ではなく「アウトカム単価」で提案できる案件を増やす
- 単価競争に入らない領域(業種特化・上流設計・PMO支援)へシフトする
DX担当・発注側の企業として
- SES契約を「人数調達」から「スキルセット調達」に切り替える
- ベンダー選定の評価軸に「AI活用率・人材育成方針」を加える
- 内製エンジニアにも同様のAI教育投資を行い、外部依存を段階的に下げる
さいごに
「AIでエンジニアが不要になる」という極論は現時点では当たりません。しかし「AIを使わないエンジニアへの需要が徐々に減っている」は、既に市場の動きとして始まっています。この変化は、SES事業者にとっては事業モデルの転換点であり、発注側にとってはDX調達を見直す好機でもあります。
自社の開発体制やエンジニア調達の見直しをお考えの方は、お気軽にご相談ください。